透析をはじめても普通の生活は送れる?仕事・旅行・食事・趣味まで看護師がやさしく解説

ご家族へ

「透析になったら、もう普通の生活はできない…」

「今までどおり仕事は続けられるのかな?」

「旅行には行ける?」

「好きなものは食べられなくなる?」

「家族に迷惑をかけてしまうのでは……」

透析が必要と言われたとき、多くの方がこのような不安を抱えます。

「透析」という言葉だけが一人歩きし、「自由がなくなる」「人生が変わってしまう」というイメージを持ってしまう方も少なくありません。

しかし実際には、多くの透析患者さんが透析を続けながら、仕事や家事、趣味、旅行など、透析とともに自分らしい人生を送っています。

もちろん、透析を始めることで生活の中に変化はあります。

週3回透析に通院できるように仕事や生活リズムを調整したり、食事や水分に気を配ったりする必要があります。

それでもあなたの「人生そのもの」が終わってしまうわけではありません。

この記事では、透析生活で変わること、変わらないこと、そして透析を続けながら長く元気に暮らすためのポイントを、透析看護の経験をもとにわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 透析を始めても続けられること
  • 透析生活で変わること
  • 毎日を前向きに過ごすためのコツ
  • 自分らしい生活を続けるためのヒント

結論

透析を始めても多くの患者さんは仕事や家事、趣味などを続けながら生活しています。

確かに透析のために時間を割く必要がありますし、食事や水分の管理も大切です。

しかし、透析は「いままでの生活や人生をあきらめる治療」ではありません。

これからも「自分らしく暮らしていくための治療」です。

透析を始めると生活の中で変わること

透析を始めると、日々の生活はどのように変わるのでしょう。透析を始めると生活の中で変わることを紹介します。

週3回の通院が生活のリズムの軸になる

血液透析をしている多くの患者さんが、週3回、1回約4時間の治療を受けています。

そのため、透析日を中心に予定を立てる生活になります。

はじめは「自由がなくなった」と感じる方もいますが、多くの患者さんは数か月ほどで自分なりの生活リズムをつかんでゆきます。

午前透析を選ぶ方もいれば、仕事を続けるために仕事おわりに透析ができるように夜間透析を選ぶ方もいます。

透析を続けるためには、仕事や趣味、お一人おひとりの生活スタイルに合わせ、無理をしなくても通院できるような透析の曜日や時間にすることが大切です。

食事や水分に気を配るようになる

透析では

  • 塩分
  • 水分
  • カリウム
  • リン などに注意が必要です。

なかには「好きなものは一切食べられない」と思われている方もいるかもしれませんが、それは誤解です。

大切なのは「禁止」ではなく「調整」すること。

たとえば、患者さんの多くが外食を楽しんだり、お祝いの日に好きなものを食べたりしています。

「今日はたくさん食べたから、明日はリンやカリウムが少ない食事にしよう」など、食べる日と調整する日を組み合わせていくことが大切なのです。

また自分一人で試行錯誤するよりも、管理栄養士や医療スタッフと相談しながら、自分に合った食生活を見つけることが上手に食事や水分をコントロールする秘訣です。

体調と上手につき合うようになる

透析後は疲れを感じる方もいます。

そのため、「今日はゆっくり休もう」「買い物は明日にしよう」というように、体調に合わせて予定を調整することが大切になります。

無理をしないことも、透析を続けながら元気に暮らすためのコツです。

透析を始めても続けられること

透析を始めたら、制限されて何もできない…?そんなことはありません。透析を始めても続けられることを紹介します。

仕事

透析患者さんの中には、会社員、自営業、農業、接客業など、さまざまな仕事を続けている方がたくさんいます。

透析時間に合わせて就業時間や勤務時間を調整したり、夜間透析を利用したりしながら働く方も少なくありません。

仕事を続けることは、収入だけでなく、生きがいや社会とのつながりを保つことにもつながりますので、ぜひ続けてください。

家族との時間

透析をしていても、家族との時間に制限はありませんし、変わりません。

一緒に食事をしたり、お孫さんと遊んだり、季節の行事を楽しんだり…。

そんな何気ないありふれた日常は、これからもあたりまえのように続いていきます。

ご家族の方も最初は不安を感じるかもしれません。

しかし、正しい知識を持つことで、安心して透析をするご家族と支え合えるようになりますので、お互いによく話をして、お気持や体調を日々共有することをおすすめします。

趣味

ウォーキングやガーデニング、カメラ、読書、釣り、手芸、旅行…透析をしているからといって、制限される趣味はないと考えます

もちろんそのときの体調や末期腎不全以外の病気、たとえば心臓病などさまざまな理由で制限が生じることはあります。

しかしみなさん、体調や透析スケジュールを調整しながらさまざまな趣味を楽しんでいらっしゃいます。

趣味は生活に楽しみを与えるだけでなく、心の健康にもつながりますし、社会とのつながりをつくります。

体調に合わせながら、ご自分の楽しめる時間を持つようにしましょう。

旅行

「透析をしていると旅行はできない」と思われがちですが、決してそんなことはありません。

旅行先の透析施設を事前に予約し旅行先で透析する「旅行透析」を利用すれば、日本全国はもとより海外旅行もお楽しみいただけます。

実際に、毎シーズン・毎年旅行を楽しんでいる患者さんも多くいます。

旅行は気分転換になり、生活に楽しみを与えてくれます。

透析をしているからとあきらめないで、あなたも旅行に出かけてみませんか?

長く元気に暮らすためのポイント

長く暮らすために心がけていただきたいポイントをご紹介します。

透析をきちんと受ける

決められた時間、決められた回数の透析を受けることは健康維持の基本です。

自己判断で透析時間を短くしたり、治療を休んだりすると体に大きな負担がかかるため、決しておすすめできません。

食事・水分管理を続ける

毎日完璧に管理しようとすると疲れてしまいます。

大切なのは「無理なく続けること」そして「少しずつ習慣化すること」です。

うまくいかないときや困ったときは管理栄養士に相談しながら、自分に合った食事・水分の方法を見つけましょう。

適度に体を動かす

散歩や軽い体操など、無理のない運動は体力維持に役立ちます。

筋力を保つことは、転倒予防や日常生活の自立にもつながります。

だからといって、筋トレやマラソンなど激しい運動は必要ありません。

ラジオ体操やストレッチなど、疲れすぎない運動から初めてみることをおすすめします。

一人で抱え込まない

透析生活では、不安や悩みを抱えることも少なくありません。

病気のこと、日々の体調、シャントの穿刺、仕事や結婚など将来のこと…そ

んなときは、一人で抱え込まずに相談してください。

医師、看護師、管理栄養士、臨床工学技士、ソーシャルワーカーなど、多くの医療スタッフが支えてくれます。

家族や友人に気持ちを話すだけでも、心が軽くなることがあります。

よくある質問

Q. 透析を始めたら仕事は辞めなければいけませんか?

いいえ。

働きながら透析を続けている方はたくさんいます。勤務時間や透析時間を調整しながら仕事を続けることが可能です。

Q. 旅行には行けますか?

はい。

旅行透析を利用すれば、国内外への旅行も可能です。

早めに透析施設を予約して計画を立てましょう。

Q. 外食はできますか?

できます。塩分や水分量に気を付けながら、食べる量や頻度を工夫することで楽しめます。

🌿 看護師からひとこと

これから透析を始める患者さんとお話をしていると「透析になったら人生が終わる」と話される方が少なくありません。

でも、その数か月後には、「思っていたより普通に暮らせています」と笑顔で話してくださる方もたくさんいます。

もちろん、透析生活は楽なことばかりではありません。

通院や体調管理、食事など、気を付けることはあります。

それでも、ご自身のペースで生活を整えていくことで、「自分らしい毎日」を取り戻している患者さんを、私は何人も見てきました。

焦らなくて大丈夫です。

透析は、これからの人生を支えるための治療です。

「普通の生活」の形は人それぞれです。

以前とまったく同じではなくても、自分らしい暮らしを続けることはできます。

透析とともに暮らす毎日の中で、小さな楽しみや喜びを見つけながら、自分らしい生活を築いていきましょう。

そして、「できなくなること」を探すのではなく、「これからも続けられること」を一つ思い浮かべてみてください。

散歩をすること。

家族と食卓を囲むこと。

好きな音楽を聴くこと。

友人と笑い合うこと。

その一つひとつが、透析とともに自分らしく暮らす大切な一歩になります。

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