「透析になるのは何歳くらいから?」
「70代や80代になってから透析を始める人が多いの?」
「若くても透析になることはある?」
このような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
透析を始める年齢には大きな個人差があります。しかし、日本透析医学会が公表している統計を見ると、日本では何歳くらいで透析を始める人が多いのかを知ることができます。
2024年に透析を導入した患者さんの平均年齢は71.69歳でした。
現在の日本では70代以降に透析を始める人が多くなっていますが、透析は高齢者だけが受ける治療ではありません。20代や30代、40代など、若い年代で透析が必要になる人もいます。
この記事では、日本透析医学会の統計をもとに、透析になる人は何歳が多いのか、透析導入の平均年齢や年代による違いについてわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 透析を始める人の平均年齢
- 透析になる人が多い年代
- 20代・30代・40代でも透析になることがあるのか
- 透析導入の平均年齢がどのように変化してきたのか
- 透析を始める時期と年齢の関係
透析になる人は何歳が多い?
まず知っていただきたいのが、ここで紹介する「年齢」は、新しく透析を始めた患者さんの年齢だということです。
すでに透析を受けている患者さん全体の年齢とは異なる点に注意が必要です。
透析導入の平均年齢は71.69歳
日本透析医学会の「わが国の慢性透析療法の現況」によると、2024年に透析を導入した患者さんの平均年齢は71.69歳でした。
つまり、現在の日本では平均すると70歳を超えてから透析を始める傾向があります。
ただし、ここで注意したいのが、
「平均年齢が約72歳だから、70歳を超えると透析になる」
という意味ではないことです。
腎臓の病気や腎機能が低下するスピードには大きな個人差があります。
若いうちに透析が必要になる人もいれば、もっと高齢になっても透析を必要としない人もいます。
平均年齢は、あくまでも「実際に透析を始めた患者さんの年齢を平均した数字」と考えてください。
男性と女性でも透析導入年齢には違いがある
2024年の透析導入患者さんの平均年齢を男女別にみると、次のようになっています。
女性のほうが、男性よりも平均導入年齢がやや高くなっています。
ただし、これは統計上の平均値です。
「男性だから早く透析になる」「女性だから遅くなる」という意味ではありません。
透析になる人が最も多い年代は?
平均年齢だけでは、「実際には何歳くらいの人が一番多いの?」という疑問には十分に答えられません。
そこで、透析を始めた患者さんを年齢階級別に見てみましょう。
2024年の統計では、透析導入患者さんの割合が最も高い年齢層は、
- 男性:75〜79歳
- 女性:80〜84歳
となっています。
つまり、現在の日本では、70代後半から80代前半に透析を始める人が多いことがわかります。
「平均年齢」と「一番多い年代」は違う
ここは少しわかりにくいところかもしれません。
透析導入の平均年齢が71.69歳だからといって、「71歳前後で透析を始める人が一番多い」という意味ではありません。
平均年齢は、若い患者さんから高齢の患者さんまで、すべての年齢を合わせて計算した数字です。
一方、「最も多い年代」は、実際の患者数を年齢別に分けたときに人数が多いグループを示します。
そのため、
平均導入年齢は約72歳ですが、実際には70代後半から80代前半で透析を始める人が多い
と考えるとわかりやすいでしょう。
年代別にみる透析導入患者
透析を始める人は、70代や80代だけではありません。
日本透析医学会の統計を見ると、20代から90歳以上まで幅広い年代で新たに透析を始めています。
20代・30代で透析を始める人もいる
20代や30代で透析を始める人は、70代や80代と比べると少数です。
しかし、若いから透析になることはない、というわけではありません。
腎臓病の種類や経過によっては、若い年代でも腎機能が大きく低下し、透析が必要になることがあります。
そのため、
「まだ若いから透析にはならない」
とは一概にはいえません。
40代・50代になると透析導入患者も増えてくる
40代、50代になると、20代や30代と比べて透析を始める患者さんは増えてきます。
腎臓の病気は、初期には自覚症状がほとんどないこともあります。
健康診断などで腎機能の低下を指摘されても症状がないため、「特に困っていないから」と受診を中断してしまうこともあるかもしれません。
しかし、慢性腎臓病(CKD)は長い時間をかけて進行する場合があります。
腎機能の低下を指摘されている場合には、年齢にかかわらず定期的に診察や検査を受けることが大切です。
60代以降ではさらに多くなる
60代以降になると、新しく透析を始める患者さんはさらに多くなります。
高血圧や糖尿病など腎機能に影響する病気を長く抱えている人も増えてくる年代です。
ただし、糖尿病や高血圧があるからといって、必ず透析になるわけではありません。
血圧や血糖値などを適切に管理しながら、腎機能の変化を定期的に確認していくことが重要です。
70代・80代が透析導入の中心
現在では、70代から80代が透析導入患者さんの中心となっています。
80歳を超えてから新しく透析を始める人もいます。
一方で、高齢の患者さんの場合には、腎臓の状態だけではなく、心臓や血管の病気、認知機能、日常生活の状態、本人の希望など、さまざまなことを考えながら治療方針を検討します。
単純に「○歳だから透析をする」「○歳だから透析をしない」と決められるものではありません。
若くても透析になることはある?
「透析患者さんは高齢者が多い」というイメージを持っている方もいるでしょう。
確かに統計上は70代や80代で透析を始める人が多くなっています。
しかし、透析は高齢者だけが受ける治療ではありません。
20代・30代でも透析になることはある
日本透析医学会の統計でも、20代や30代で新たに透析を始めている患者さんが報告されています。
若い年代で透析が必要になる背景には、比較的若年から透析が必要になるような多様な腎臓病があるからです。
「若いから腎臓病にはならない」と考えるのではなく、尿検査や血液検査などで異常を指摘された場合には、必要な検査や診察を受けることが大切です。
透析になる年齢は原因となる病気によっても異なる
透析が必要になる原因は一つではありません。
2024年に透析を導入した患者さんの主な原疾患には、
- 糖尿病性腎症
- 腎硬化症
- 慢性糸球体腎炎
- 多発性嚢胞腎
などがあります。
病気によって発症する年代や腎機能が低下する経過も異なるため、透析を始める年齢にも違いがあります。
そのため、「透析になるのは何歳?」という疑問に対して、すべての人に共通する年齢を示すことはできません。
透析を始める年齢は昔より高くなっている
日本では、透析を始める患者さんの平均年齢が長期的に高くなっています。
日本透析医学会の統計をみると、透析導入患者さんの平均年齢は次のように推移しています。

1983年には約52歳だった平均導入年齢が、2024年には約72歳になっています。
40年ほどの間に、透析を始める患者さんの平均年齢は大きく上昇してきたことがわかります。
なぜ透析を始める年齢が高くなっているの?
透析導入患者さんの高齢化には、日本全体の人口構造の変化や腎臓病の背景となる病気の変化など、さまざまな要因が関係しています。
ここで注意したいのは、
「昔より透析になる年齢が20歳遅くなった」
と単純に考えることはできないということです。
1980年代と現在では、日本の人口構成そのものが大きく異なります。
透析患者さんを取り巻く医療環境や、透析導入の原因となる病気の割合なども変化しています。
そのため、この数字は「一人の患者さんが昔より20年間長く透析を避けられるようになった」という意味ではなく、日本で新たに透析を始める患者さん全体が高齢化していることを示すデータとして捉えることが大切です。
何歳になったら透析を始めるという基準はない
ここまで統計を見て、
「では、70代になったら透析を始めるの?」
と思った方もいるかもしれません。
透析を始めるかどうかは、年齢だけで決めるものではありません。
年齢だけで透析開始が決まるわけではない
透析には、「○歳になったら始める」という年齢の基準はありません。
40代でも透析が必要になる人がいる一方で、80代になっても透析を必要としない人もいます。
大切なのは年齢そのものではなく、その人の腎臓がどの程度働いているのか、腎不全によって体にどのような影響が出ているのかという点です。
腎機能の数値だけで決まるわけでもない
透析開始を考えるときには、血液検査による腎機能の評価も重要です。
しかし、「クレアチニンが○mg/dLになったら必ず透析」といったように、一つの数値だけで透析開始が決まるわけではありません。
腎機能がかなり低下していても、状態によってはすぐに透析を始めない場合もあります。
反対に、腎不全による症状などが強く現れていれば、治療が必要になることがあります。
症状や全身状態などを総合的に判断する
透析を始める時期は、さまざまな要素を確認しながら判断されます。

そのため、統計上「70代・80代の透析導入が多い」からといって、年齢だけを見て自分が透析になる時期を予測することはできません。
透析になる年齢についてよくある質問
透析になる平均年齢は何歳ですか?
2024年に透析を導入した患者さんの平均年齢は71.69歳です。
男性は71.03歳、女性は73.26歳でした。
透析になる人が一番多いのは何歳くらいですか?
2024年の統計では、透析導入患者さんの割合が最も高い年齢層は、男性では75〜79歳、女性では80〜84歳でした。
そのため、現在の日本では70代後半から80代前半で透析を始める人が多いといえます。
40代や50代で透析になることはありますか?
あります。
70代や80代と比べると人数は少なくなりますが、40代や50代で透析を始める患者さんもいます。
透析が必要になる年齢は、腎臓病の種類や進行の程度などによって異なります。
20代・30代でも透析になることはありますか?
20代や30代でも透析が必要になることはあります。
若い年代では透析導入患者さんの人数は少ないものの、若いから透析になることはないとはいえません。
80代から透析を始める人もいますか?
います。
現在の日本では80代で新たに透析を始める患者さんも多くいます。
ただし、高齢の患者さんでは腎臓の状態だけではなく、全身状態や生活状況、本人の希望なども含めて治療方針を検討します。
何歳になったら透析を始めるという基準はありますか?
「○歳になったら透析を始める」という年齢の基準はありません。
腎機能や症状、尿量、電解質の異常、全身状態などを総合的にみながら、透析を始める必要があるか判断します。
まとめ|透析導入の平均年齢は71.69歳
日本透析医学会の2024年の統計では、新たに透析を始めた患者さんの平均年齢は71.69歳でした。
年齢階級別にみると、男性では75〜79歳、女性では80〜84歳の割合が最も高く、現在の日本では70代から80代で透析を始める人が多くなっています。
一方で、20代や30代、40代などの若い年代で透析を始める患者さんもいます。
また、透析導入患者さんの平均年齢は1983年の51.92歳から2024年には71.69歳まで上昇しており、透析を始める患者さんの高齢化が進んでいます。
ただし、「何歳になったら透析になる」という決まった年齢はありません。
透析を始める時期は年齢だけではなく、腎機能や症状、全身状態などを確認しながら、一人ひとりの状態に応じて判断されます。
統計は「日本では何歳くらいで透析を始める人が多いのか」を知る目安として考えておきましょう。
参考文献
- 一般社団法人 日本透析医学会 統計調査委員会.「わが国の慢性透析療法の現況(2024年12月31日現在)」
日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」 - 一般社団法人 日本透析医学会.「透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」透析会誌 2020;53(4):173-217.透析開始については、単純に年齢だけで判断するのではなく、患者の状態や意思などを踏まえた意思決定が重要になります。日本社会事業大学
日本透析医学会「ガイドライン・提言」 - 厚生労働省.「腎疾患対策検討会報告書~腎疾患対策の更なる推進を目指して~」
CKDの早期発見・重症化予防や新規透析導入患者の減少が国の腎疾患対策として位置づけられています。厚生労働省
厚生労働省「腎疾患対策検討会報告書」


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