シャント手術を終えたあと、外来で
「もう少し発達を待ちましょう。」
「シャントの発達が少しゆっくりですね。」
と言われることがあります。
その言葉を聞くと
「手を握る運動が足りなかったのかな。」
「私の血管が悪いのかな。」
「また手術になってしまうの?」
と、不安になる方も少なくありません。
でも、安心してください。
シャントの発達がゆっくりなことは、決して珍しいことではありません。
そして、多くの場合は患者さんご自身のせいではありません。
この記事では、シャントの発達が悪いと言われる理由や原因、治療方法であるPTA(VAIVT)について、初めての方にも分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- シャントの発達が悪いとはどういう状態?
- 発達が悪いことは珍しい?
- 発達が悪くなる原因
- PTA(VAIVT)とはどんな治療?
- PTAは痛い?
- 治療後に気を付けること
シャントの発達が悪いと言われても、珍しいことではありません
「発達が悪いですね」と言われると、多くの方が「失敗したのでは」と心配されます。
しかし、シャントの発達がゆっくりだったり、予定どおりに進まなかったりすることは、決して珍しいことではありません。
実際には、シャント手術後の外来で経過を見ながら、「もう少し様子を見ましょう」「追加の治療を考えましょう」となる方は少なくありません。
大切なのは、早めに気付き、適切な対応をすることです。
現在では、シャントを長く使うための治療法がいくつもあり、必要に応じて改善を目指すことができます。
シャントの発達が悪いとは?
シャントの手術では、動脈と静脈を手術でつなぎ、たくさんの血液が静脈に流れるようにします。その結果、血管が太くなり透析ができるようになります。
しかし、手術をしたその日にシャントが完成するわけではありません。
シャントは数週間から数か月という時間をかけて少しずつ血管が太くなり、透析に必要な血液が十分に流れる状態になるのが特徴です。
しかし、
- 血管が十分に太くならない
- 血液の流れが少ない
- 透析で使うには細すぎる
といった状態では、超音波検査や診察で確認し「発達が十分ではない」と判断されることがあります。
発達が悪くなる原因
シャントの発達がゆっくりになる、発達が悪くなる理由は一つとは限りません。
複数の要因が関連している方も多いです。
代表的なものには、次のような原因があります。
血管がもともと細い
生まれつき血管が細い方では、血管が発達し太くなるまで時間がかかることがあります。
糖尿病
糖尿病があると、血管がもろく硬くなりやすく、発達に影響することがあります。
動脈硬化
年齢や生活習慣・糖尿病などの影響で血管が硬くなると、十分な太さに血管が発達しない場合があります。
心臓の働き
心臓から送り出される血液が少ない場合、シャントへ流れる血液も少なくなり発達しにくくなることがあります。
血流の変化
血管の途中が細くなっていたり、血液の流れが悪くなっていたりすると、発達が進みにくくなることがあります。
ここで一番お伝えしたいことがあります。
シャントの発達が悪いからといって、ご自身を責める必要はありません。
なぜならあなたの血管の状態は、ご本人の努力だけで変えられるものではないからです。
PTA(VAIVT)とは?
シャントの発達が十分でない場合には、PTA(VAIVT)という治療を行うことがあります。
難しく聞こえる名前ですが、簡単に言えば、
細くなった血管を風船で広げる治療です。
細い管(カテーテル)の先についた小さな風船を血管の中まで進め、細くなった部分で風船を膨らませます。
すると、血液が流れやすくなり、シャントが発達しやすくなったり、透析に使えるようになったりします。
「もう一度シャントを作り直す治療」ではなく、今あるシャントをより良い状態に整える治療と考えるとイメージしやすいでしょう。
PTA(VAIVT)は痛い?
PTAは、多くの病院で局所麻酔をして行われます。
治療中、血管を広げる際に多少の違和感や圧迫される感じがあることはありますが、強い痛みを感じる方は多くありません。
治療時間は30〜60分程度で、日帰りで受けられることも多い治療です。
もちろん、痛みの感じ方には個人差があります。
不安なことがあれば、遠慮なく担当の医師や看護師へ相談しましょう。
PTAを受けるとどうなる?
PTAによって血液の流れが改善すると、
- シャントが発達しやすくなる
- 透析に使える可能性が高くなる
- 血流が改善する
- シャントを長く使えることが期待できる
などの効果が期待されます。
すべての方に同じ結果が得られるわけではありませんが、多くの患者さんがPTAによってシャントを使い続けることができています。
PTAを受けたあとに気を付けること
治療後は、病院から説明された内容を守ることが大切です。
例えば
- 出血していないか確認する
- 当日は無理をしない
- 重い荷物を持たない
- シャントの拍動や音を確認する
などがあります。
いつもと違う症状があれば、早めに病院へ相談しましょう。
PTAは何度も受けることがあるの?
「一度治療したら、もう安心ですか?」という質問をよくいただきます。
残念ながら、血管は時間とともに再び細くなることがあります。
そのため、PTAを複数回受ける方も少なくありません。
しかし、これは珍しいことではありません。
車に定期的な点検や整備が必要なように、シャントも状態に応じてメンテナンスを行いながら長く使っていくことがあります。
PTAは「治療が失敗したから受けるもの」ではなく、シャントを守るための大切なメンテナンスと考えていただければと思います。
よくある質問
Q. PTAを受けると入院が必要ですか?
日帰りで行われることが多いですが、病院によって異なります。
Q. PTAをするとシャントは長持ちしますか?
血流が改善することで、シャントを長く使える可能性があります。
看護師からひとこと
「発達が悪いですね」と説明を受けると、とても落ち込んでしまう方がいらっしゃいます。
でも、その言葉だけで「もうだめなんだ」と思わないでください。
私たちは、シャントが順調に発達しているかを一緒に確認し、必要があればPTAなどの治療を行いながら、透析を安全に始められるようサポートしています。
シャントの発達は、ご本人の努力だけで決まるものではありません。
分からないことや不安なことがあれば、一人で抱え込まず、ぜひ医療スタッフへ相談してください。
今日からできること
次回の受診では、主治医に次の3つを聞いてみましょう。
- 現在のシャントの発達は順調ですか?
- PTAが必要な状態ですか?
- 自宅で気を付けることはありますか?
疑問をそのままにせず、納得しながら治療を進めていくことが、安心につながります。
まとめ
- シャントの発達がゆっくりなことは珍しくない
- 発達が悪いのは患者さん自身のせいではない
- PTA(VAIVT)は、細くなった血管を風船で広げる治療
- PTAはシャントを長く使うためのメンテナンスの一つ
- 不安なことがあれば、一人で悩まず医療スタッフへ相談しよう


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