シャント手術が終わると
「今日はまだ透析には使えません。」
「シャントが発達するまで待ちましょう。」
と説明されることがあります。
初めて聞くと
「発達ってどういうこと?」
「発達しないと何がダメなの?」
「自分のシャントはちゃんと発達するの?」
「自分でできることはある?」
と不安になりますよね。
シャントは、手術が終われば完成して、すぐ透析ができるようになるわけではありません。
透析で安全に使える血管に発達するまでには、少しだけ時間が必要ですし気をつけて欲しいことがあります。
この記事では、シャントの発達とは何か、発達するとどんなよいことがあるのか、発達を助けるためにできること、発達しない場合の原因についてわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- シャントの発達とは
- 発達にはどれくらいかかるのか
- 発達すると何が良いのか
- 発達をうながすためにできること
- 発達しない場合の原因
- 病院へ相談した方がよいサイン
シャントの発達とは?
シャント手術では、腕の動脈と静脈をつなぎます。
手術直後の静脈はまだまだ細く、そのままでは透析で十分な血液を身体の外に取り出すことができません。
シャント手術でつないだ、動脈から流れる勢いのある血液によって静脈は以下のように少しずつ変化していきます。
- 血管が太くなる
- 血管の壁が丈夫になる
- 十分な血液が流れるようになる
この変化を「シャントの発達」といいます。
発達したシャントは、透析に必要な血液を身体の外に送り出せるようになり、安全に透析ができるのです。
シャントの発達にはどれくらいの時間がかかる?
一般的に、シャントの発達にかかる期間は2〜4週間程度といわれています。
ただし
- 年齢
- 糖尿病
- 動脈硬化
- もともとの血管の太さ
- 心臓の働き
などによって個人差があります。
手術から2〜4週間程度経過して「まだ使えません」と言われても、焦る必要はありませんので安心してくださいね
医師や透析スタッフが血流や血管の状態を確認しながら、安全に使えるタイミングを判断します。
シャントが発達すると何がいいの?
シャントが十分に発達すると透析を安全に始められるだけでなく、その後もよい状態を保ちながら使い続けられる可能性が高くなります。
たとえば
- 針が刺しやすくなる
- 十分な血液が流れる
- 透析効率が良くなる
- 血管への負担を減らせる
- シャントを長持ちさせやすくなる
といったメリットがあります。
シャントの発達は、透析生活のスタートを支え、安定した透析をおこやうために欠かせないのです。
シャントの発達をうながすためにできること
シャントの発達をよくする、発達をうながすためにできることを4つご紹介します。
① 医師から指示があれば、手を軽く握る運動をする
シャント手術後には、医師から「手を軽く握る運動(掌握運動)」をすすめられることがあります。
掌握運動は、手のひらを握ったり開いたりすることで、腕の血流がよく流れるようにし、シャントの発達を助ける目的でおこなわれます。
ただし、手術直後から誰でも掌握運動をおこなうわけではありません。
掌握運動を始める時期や方法、回数は病院や患者さんの状態によって異なるため、必ず医師や看護師の指示に従いましょう。
② 腕を強く圧迫しない
シャントのある腕を長時間圧迫すると、シャントに流れる血流がとどこおり、シャントの発達が妨げられることがあります。
腕枕をしていて、腕がしびれた経験はありませんか?あのしびれ感が、腕の血流がとどこおっている状態です。
腕枕以外にも
- きつい腕時計をはめる
- 手首を締め付ける服を着る
- 手首や腕に荷物をかける
といったことは避けましょう。
③ 毎日シャントを観察する
毎日数秒で構いません。
- ドクドクとした拍動
- ザーザーという音
- 腫れや赤み
を確認する習慣をつけましょう。
観察するだけで発達するわけではありませんが、「いつもと違う」とシャントの変化に気付くことが大切です。
シャントの発達が悪かったり詰まってしまったりと、トラブルを早く見つけることにつながりますので、ぜひ毎日シャントを観察してみてください。
④ 無理をしない
「早く発達させたい」と思っても、重い物を持ったり、意地になって疲れるほど掌握運動を続けたりする必要はありません。
シャントは時間をかけてゆっくり発達します。
焦らず、毎日の生活を大切に過ごしましょう。
編集部のおすすめ
手を軽く握る運動は、タオルを丸めたものや柔らかいボールでも行えます。
一方で「握りやすく、毎日続けやすいものを使いたい」という方には、【ストレスリリーサー(握るためのやわらかいボール)】も選択肢の一つです。
弾力があり手になじみやすいため、毎日の運動を習慣にしやすいというメリットがありますし、さまざまなデザインやカラーがありますので、きっとお気に入りが見つかるはずです!
ただし、運動を始める時期や方法は必ず主治医や医療スタッフの指示に従ってくださいね。
シャントが発達しないこともある?
すべての方のシャントが順調に発達するわけではありません。
発達がゆっくりになる原因には
- 血管が細い
- 糖尿病
- 動脈硬化
- 高齢
- 血流が少ない
などがあります。
これは患者さんの努力不足ではなく、血管の状態によることが多いため、ご自身を責める必要はありません。
シャントが発達しない場合はどうするの?
シャントの発達が十分でない場合には、検査で原因を調べ治療をする場合があります。
たとえば
- 超音波検査で原因を調べる
- PTA(風船で血管を広げる治療)をおこなう
- 必要に応じて再手術を行う
などです。
「シャントが発達しなかった=シャント使えない」というわけではありません。
医師がシャントが発達しなかった原因を確認し、その方のシャントの状態にあった治療方法を提案してくれます。
こんなときは病院へ相談しましょう
次のような症状はシャントに異常がおこっているサインです。早めに病院へ相談してください。
- ドクドクとした拍動が急に感じられなくなった
- ザーザーという音が聞こえなくなった
- 腕が大きく腫れた
- 強い痛みがある
- 出血が止まらない
- 指先が冷たい、紫色になる
早めの受診が、シャントを守ることにつながります。
よくある質問
Q. 発達を早くする方法はありますか?
医師から指示があれば、手を軽く握る運動を勧められることがあります。
大切なのは無理をせず、毎日少しずつ続けることです。
Q. 発達しているか自分で分かりますか?
毎日の「ドクドク」と「ザーザー」の確認は役立ちますが、最終的な判断は病院で行います。
看護師からひとこと

シャント手術のあと、「ちゃんと発達しているかな」と心配になる方は少なくありません。
けれども、シャントは一日で発達したり、完成したりするものではなく、毎日の生活の中で少しずつ透析に使える血管へと変わっていくものです。
シャントの発達をうながすために、医師から手を握る運動をすすめられた場合は、無理のない範囲で続けてみましょう。
毎日の小さな積み重ねが、自分の大切なシャントを守ることにつながります。
そしてもし「いつもと違うかな」と感じたら、一人で悩ます医療機関へ相談してください。
今日からできること
今日から1日1回、シャントのある腕を観察してみましょう。
- ドクドクとした拍動はありますか?
- ザーザーという音は聞こえますか?
- 腫れや赤みはありませんか?
そして、医師から許可が出ている方は、手を軽く握る運動を毎日の習慣にしてみましょう。
これから安定した透析ができるように、焦らず、大切にシャントを育てていきましょう。


コメント